なぜ人はカードに問いかけるのか。
占い師として長く活動していると、この質問を自分にもクライアントにも、何度もしてきました。
そして気がついたのは、「答えが欲しいから」ではないということです。
言葉にできない感情
カードを引きに来る人の多くは、すでに薄々答えを知っています。
別れた方がいいと感じている。転職した方がいいと感じている。あの人とはもう会わない方がいいと感じている。
それでも、その感じを言葉にしようとすると、うまく出てこない。誰かに話そうとすると、伝わらない。自分の中でも、はっきり認められない。
そういう「言葉にできない感情」を、カードはそっと絵にして見せてくれるのです。
絵が、言葉を引き出す
タロットでもルノルマンでも、出てくるのは絵です。象徴的なイメージ、人物、風景。
その絵を眺めているうちに、ふと「あ、私は今、こういう気持ちだったんだ」と気づくことがあります。絵が触媒になって、自分の中に眠っていた言葉が引き出される。
カードが教えてくれたのではありません。自分の中にすでにあった答えに、カードを通して気づいただけ。
整理できない状況
もうひとつ、人がカードに来る理由があります。
それは「整理できない状況に直面した時」です。
情報が多すぎる。要素が絡み合っている。家族のこと、仕事のこと、お金のこと、自分の体のこと、全部が同時に動いている。頭の中で何度も考えても、堂々巡りになる。
そういう時、カードはまず「焦点」をくれます。
一枚目、二枚目、三枚目。展開していくうちに、絡み合っていた糸の中から、一本の細い線が見えてくる。「ああ、まずここから」と分かる。
見たくない真実
正直に言いますが、カードはときどき、見たくない真実を見せてくることがあります。
「もうこの関係は終わっている」と分かるカードが出る。「そろそろこの仕事を手放す時だ」と分かるカードが出る。
ショックを受けるクライアントもいます。私自身も、自分のことを占って、ショックを受けたことが何度もあります。
けれどそれは、カードが冷たいからではありません。むしろ、本当に親切だからです。
見ないふりをし続けることの方が、ずっと長い苦しみを生むことを、カードは知っているのです。
鏡としてのカード
カードは、未来を予言する道具ではありません。
もちろんそういう使い方もできますが、私が大切にしているのは「鏡」としてのカードです。
今のあなたの中に、すでに何があるか。何を見ようとしていて、何を見ないようにしているか。それを映し出してくれる鏡。
鏡だから、責めません。ただ、ありのままを映す。それを見てどうするかは、あなた次第。
一枚、引いてみる
もし今、何か言葉にできない感情を抱えているなら。
手元にカードがあるなら、一枚だけ引いてみてください。意味を調べる必要はありません。ただ、出てきた絵を眺めてみる。
そこに描かれているもの、その人物の表情、背景の色。何があなたの目に留まるか。何があなたの心を少し揺らすか。
そこに、たぶん答えがあります。
カードはきっかけにすぎません。本当の声は、いつもあなたの中にあります。
