日本ではあまり知られていませんが、ヨーロッパではルノルマンカードはタロットと同じくらい——人によってはそれ以上に——身近な存在です。
フランスやドイツ、ベルギーの蚤の市を歩いていると、ルノルマンのデッキは本当によく見つかります。そして、それはたいてい「誰かが日常的に使っていた」雰囲気を纏っているのです。
36枚の小さな絵
ルノルマンカードは36枚です。タロットの78枚と比べると、ずっと少ない。
一枚一枚に描かれているのは、シンプルなモチーフです。家、犬、船、本、指輪、鍵、月、星。日常の風景の延長線上にあるものばかり。
タロットがどこか神話的な人物像を描くのに対して、ルノルマンは「家具」や「持ち物」のような顔をしています。
内面を映す鏡と、現実を映す窓
私はよく、生徒さんにこう説明します。
「タロットが心の奥を映す鏡なら、ルノルマンは目の前の現実を映す窓のようなもの」
タロットを引くと、自分でも気づいていなかった感情が浮き彫りになることがあります。塔のカードが出れば、それは外側の出来事だけでなく、自分の中で崩れかけている何かを示している。
一方、ルノルマンはもっと事実に近いところを語ります。「家のカードと手紙のカードが並んでいる」と言われれば、それは「家にまつわる連絡事項」のような、具体的な現実を示すことが多い。
組み合わせて読む文化
ルノルマンの面白さは、一枚で読まないことです。
二枚以上を組み合わせて、まるで文章のように読み解いていく。家+鍵で「家の鍵」「住居の解決策」、船+手紙で「遠方からの便り」「旅行の予約」。
一枚一枚は単純なのに、組み合わさると突然、具体的な情景が立ち上がってくる。これがルノルマンの魅力です。
占い師の家にあった、古いデッキ
フランス南部の小さな村に住んでいた、年配の占い師の家を訪ねたことがあります。
彼女のキッチンの棚には、ルノルマンのデッキが置かれていました。料理の合間に、ふとカードを引いて、その日の予定を確認する習慣があるのだと教えてくれました。
「タロットは儀式の道具よ。でもルノルマンは、私にとっての天気予報みたいなもの」
彼女はそう言って笑いました。
日常に置けるカード
ルノルマンを使い始めると、占いに対する距離感が少し変わるかもしれません。
特別な瞬間にだけ引くものではなく、コーヒーを淹れるように、傘を持って出かけるように、ふと一枚引いてみる。そういう関わり方ができるカードです。
もし興味を持たれたなら、まずは一日一枚から始めてみてください。
そのカードが、あなたの一日にどんな窓を開けてくれるか。それは、引いたあなたにしか分からないことです。
